数学速習のすすめ
高校入試を経て高校へ進学した場合、中高一貫校に比べて、数学・理科の進度に差があり、難関大を目指すうえでは、不利を受けます。(参照:一般的な高校と中高一貫校の数学・理科の進度差)このため、中高一貫校以外の高校生で、旧帝大の医学部医学科に現役で合格したい人、東大理一や理二、旧帝大薬学部や国公立大学の医学部医学科にどうしても現役合格したい人、旧帝大の理学部や工学部、農学部等の志望者で試験当日に風邪をひこうが、ノロウィルスに罹ろうが、現役合格したい人には、数学・理科の速習をおすすめしています。
ここでは、数学の速習の方法論と速習に使えるコンテンツおよびその使い方について書いていきます。
※前の記事で速習を行う際の重要な注意点について書いていますので、実際に速習を行う際には必ずこちらの記事を読んでから取り組んでください。
数学速習の方法論
数学の速習に使えるコンテンツ・参考書の紹介の前に、数学の速習の方法論について考えてみましょう。
まず、数学の速習の出発点と到達点を設定しますが、先に考えやすい到達点から考えます。ここでは、数学の学習の段階(レベル)をざっくりと教科書レベル、入試基礎レベル、入試標準レベル、入試難問レベルの4段階に分けて考えます。(もっと細かく分けることも可能ですが、ざっくり分けます)入試の難問レベルはもちろん、標準レベルの問題においても、分野を超えて使える考え方や、他の単元との関連性、別の視点で(別の単元の問題と考えて)解く別解など、学ぶべきことはたくさんあるので、それらは一通り全範囲を学び終えた後にやることが理想的です。したがって、速習の目標とする到達点は、各単元において、教科書の内容を根本から理解し、入試の基礎問題が解けるというところに設定するのが良いでしょう。
到達点が決まったところで、出発点について考えると、これから学習を始める単元を理解するのに必要となる知識を含む単元(例えば、数Ⅲの微分であれば、数Ⅱの微分や三角関数、対数関数等、数Ⅰの数と式であれば中学までの数学)について、学習済み(到達点に達している)というところが出発点になります。(未習の単元がある場合は先にそちらの単元をやりましょう)
出発点と到達点が決まったので、次に、そこに至るのに何が(どんな学習が)必要かを考えます。シンプルに考えれば、以下の4つが必要です。
①教科書レベルの知識・概念の取得(教科書レベルのインプット)
②教科書レベルの問題演習
③入試基礎レベルの解法・考え方の取得(入試基礎レベルのインプット)
④入試基礎レベルの問題演習
あとは、この4つ要素を含むように具体的な勉強法を考えるということになります。以下では①~④の要素という視点で、使えるコンテンツを具体的にいくつか挙げていき、最後にそれらを組み合わせた勉強法の一例を紹介します。ですが、具体的な学習法を考える前に、学校での数学の学習法がどんなものかを押さえておきましょう。速習のポイントの記事でも書きましたが、学校の授業や課題を活用することはとても重要です。そのためにも、まずは一般的な高校の数学の学習法を分析しましょう。
一般的な高校における数学の学習法の分析
多くの高校での数学の学習法は、まず、教科書の内容を授業で解説します。次に、教科書および 4STEP やサクシード、クリアー等の教科書傍用の問題集を使い演習を行います。さらに、週末課題や長期休暇の課題として、青チャートや黄チャート、Focus Gold などの参考書の問題で演習させるケースが多いです。つまり、教科書+授業、傍用問題集+授業、チャート等の3段階です。教科書傍用の問題集は教科書レベル+α、チャート等の参考書が入試の基礎レベルを中心に標準レベルの問題を少し含むので先ほどの①~④の要素に分けると次のようになります。
①→教科書+教科書の解説授業
②→教科書+傍用問題集
③→傍用問題集の解説授業+チャート等の参考書
④→傍用問題集+チャート等の参考書
この方法は先の方法論で述べた①~④の要素が含まれており、すべてうまくいけば、速習で目標とするレベルまで到達できます。しかし、実際は指導力の低い教師が担当になったり、解説のついていない傍用問題集をうまく活用できなかったり、問題数の多いチャート等の参考書をうまく使いこなせなかったりで順調にいかないことも多々あります。そのような状況に陥っている場合にも、このように要素に分けて分析しておくことで、問題が起こっている部分に対して、以下に紹介するコンテンツを適切に選択して立て直しができます。