国公立大学の受験のポイント・理系学部編
国公立・私立問わず、理系入試では高3まで教科書の内容を進める数学Ⅲや理科が試験科目となるため、対策不足のまま入試を迎えることが少なくありません。特に国公立大学では、センター試験で多くの科目が課されるため、効率よく取り組むことが重要です。ここでは、各大学の対策ではなく、全般的に国公立大学の理系学部を受験するにあたって、注意しておくべきことをまとめていきます。
※東大・京大の受験を考えている人はこちらの記事を参考にしてください
数学Ⅲが必要かどうかで戦略が多き変わる
理系といえば数学Ⅲというイメージを強く持たれている方も多と思います。しかし、農学部や教育学部、生命科学系の学科や化学系の学科の中には、数学Ⅲなしで受験が可能な大学もあります。数学がⅠAⅡBまでであれば、試験に向けた取り組みは大きく変わります。というのも、数学Ⅲをやる場合は、多くの高校では高3の夏ごろまで教科書の内容を進めます。しかし、このペースでは二次試験対策を完璧にするのは、正直言って厳しいです。そのため、数学の先取りが必要になります。対して、数学ⅠAⅡBまでの場合、数学の先取りの必要はありません。理系クラスならⅠAⅡBは高2の12月ごろには終わり、残りを入試対策に充てられるので、十分なのです。
数Ⅲをやるかやらないかで入試への取り組みが大きく変わることになりますが、それとともに出願・併願の戦略も大きく変わります。まず、国公立大学の理系の数学の試験では数学Ⅲまで出題される大学がほとんどです。なので、数学ⅠAⅡBで受験可能となると、選択肢がかなり絞られます。また、私立大学では有名大学の理工系学部は数学Ⅲがほぼほぼ必要です。そうなってくると志望を下げるか、ⅠAⅡBまでが範囲となることが多い薬学部や生命科学系統の学部学科を検討することになります。
こういう事情があるので、併願等も考えたうえで、数学Ⅲをやるかどうかを高2の夏には決めましょう。数Ⅲをやった上で判断するという方法もありますが、もし数学Ⅲがいらない学部学科に決定した場合、それまでに数Ⅲに費やした時間は無駄になります。どうしても早期の決断ができない場合はそれを覚悟しておいてください。
理科の先取りをどうするか
中高一貫でない場合、理科は高3の秋ごろ、へたをすると12月までかかって教科書を進めます。なので、非常に短い期間で入試に臨まなければならいないことになります。そこで、理科の先取りが必要になります。先取りを開始するにあたっては、数学Ⅲが入試で必要な場合は数学Ⅲの先取りを終えてから理科に取り掛かりましょう。演習に比べて先取りは新しいことを一から入れていく必要があるので、時間がかかります。同時進行で複数科目を先取りすると定着が甘くなり、効率が落ちるので、先取りは必ず一科目ごとに行いましょう。
具体的なペース目標ですが、理科二科目が二次試験の科目となっている場合は高3の8月(東工大や旧帝大などの難関大の場合は高3の5月)、理科一科目が二次試験で課される場合は二次試験で使う科目を高3の6月、センターのみの利用の科目を高3の10月までに先取りを終えましょう。また、理科はセンターのみの場合は高3の10月までに終えておけば間に合います。
難関大でも二次試験は英数理のうち二つできれば合格
ほとんどの場合、国公立大の理系学部で二次試験の科目となるは、数学、英語と理科です。したがって、少なければ一科目、多ければ数学、英語に理科2科目の4科目となります。しかし、英数理の3教科が課される大学では、3教科とも二次試験対策を完璧にして試験に臨むことができる人はほとんどいません。というのも、数学や理科の高校の進度の兼ね合いがあり、対策に充てる期間が文系に比べてかなり短いのが原因です。そのため、難関大においても、1教科失敗してしまっても、他二つで高得点が取れて合格するケースがよくあります。指導していての感覚としても、全科目とも平均的に対策を進めた人よりも、1科目ずつしっかり対策をしていった人が合格していく傾向にあります。上位以上の大学では問題も難しいので中途半端な対策では、思ったよりも点数が取れないというのが実際のところです。
また、二次試験が二教科以下の場合は、どちらもある程度得点することが求められます。3教科ではすべてしっかりとした対策をして試験に臨める人は多くはありません。しかし、2教科以下の場合は科目が絞られ、多くの受験者がしっかり対策をしてくるので、高得点を二つそろえる必要があります。実は国公立理系では、センター重視の大学でも、センターリサーチA判定から逆転で不合格というケースも珍しくないので、科目数が少ない場合は、きっちり対策をして二次試験に臨みましょう。
苦手でもセンター英語・国語は乗り切る必要あり
理系志望者の場合、英語や国語がなどの文系科目が苦手という人が多くいます。二次試験では数学と理科で受験可能な大学を選んだり、英数理の3教科の大学で、数学と理科で稼いで合格点を取れば大丈夫です。しかし、センター試験の英語、国語ではそれなりに点数をまとめてくる力がないと厳しいです。そもそも英語と国語はセンター試験での配点が高いです。そこを乗り切れないと目標点に届きません。センター重視の大学ではセンター英語や国語でコケと合否に直結します。難関大でも傾斜配点となることが多いため、センター数学や理科に比べて、国語や英語の得点が高く設定されがちです。意外とセンター英語、国語の差は大きく出ます。具体的な目標としては、全体の目標得点率からマイナス5%以内におさたいところです。この範囲なら数学や理科で挽回できれば目標点に届くはずです。
センター文系科目の対策で注意が必要なのは現代文です。センター英語は単語・文法を固めて、速読中心にやればそこそこ点が取れるようになるはずです。古文や漢文についても同様に単語・古文文法、句形等を固めて演習をすればそれなりに点数は安定してくるはずです。ところが、現代文の対策は何をやったらよいかわからず、演習だけやって終わりになりがちです。特に模試である程度点数が取れている人はこの傾向にあります。しかし、現代文は模試と本番の点数が一番リンクしない科目です。模試では高得点をとれていたのに、本番は大コケなんて言うのも珍しくありません。なので、模試で点数が取れているかどうかにかかわらず、正しい読み方を身に着け、センター試験の特徴・ポイントを抑えたうえで、ある程度の過去問演習をやっておくとよいでしょう。
私立併願について
文系においては私立大学の問題は癖が強く、しっかり考えて併願する必要がありましたが、理工系の理系学部の場合は、国公立よりも比較的取り組み易い問題がメインなので、文系に比べて併願がしやすいといえます。考慮すべきは、国公立の二次試験の科目よりも多くの科目が併願校で課される場合はそれだけ負担が増すという点です。二次試験よりも科目が多くなる場合は、覚悟のうえで出願するか、併願校を再検討するかしましょう。
比較的自由に併願先を選べる理系ですが、数学Ⅲをやらない場合は注意が必要です。数学Ⅲなしで出願できる大学を探すことになりますが、有名私大の理工系学部ではほぼほぼ数学Ⅲが必要になるので、レベルを下げるかⅠAⅡBまでが出題のメインとなる薬学部、生命科学系の学部学科を検討する必要があります。どうしても有名私大の理工系を併願したいというのであればセンター利用になります。しかし、これはかなり高得点が必要になるので、センター対策をきちんとしておきましょう。
まとめ
国公立大の理系学部は数学・理科と高校の進度の兼ね合いにより、十分な対策ができないないまま試験に臨むことになりがちです。逆に言えば、早めに先取りを開始して、きちんと対策をして入試に臨めれば、合格の可能性はかなり高まります。また、理系の皆さんが苦手にしがちな英語や国語といった文系科目もセンター試験に関してはある程度点数をまとめてくる必要があります。私立大学に比べてハードルは高いですが、頑張って合格を手にしてください。
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